【2024年8月】国内クラウドファンディング資金調達ランキング

2024年8月、購入型クラウドファンディングの大手プラットフォーム(CAMPFIRE, Makuake, READYFOR)における、資金調達が多かったプロジェクト(累計金額ではなく、単月の調達金額)を集計しました。

※ ご注意
このランキングは、多くの人から支援されているプロジェクトの傾向を掴み、今後のプロジェクトの成功に役立てていただく目的で、当サイトが独自で集計したデータに基づいて行っています。そのため各プロジェクトの調達額については、公式なものではありません。また、調達規模を大まかに掴むのに支障がない範囲で、数字を丸めさせていただいております。

CAMPFIRE〜高単価のリターンを設定したプロジェクトが1-2位

タイトルジャンル調達額
「まちカドまぞく」を盛大にお祝いまぞくしたい!アニメイベント3,927万円
DIYから販売まで!誰でも簡単に本格的な製作を楽しめる、1台4役のクラフトマシンプロダクト販売2,542万円
能登半島地震で被災し全壊した牛舎を建て直したい災害支援1,712万円
日本の金融教育を向上し、女性たちで創造的な未来を創りたい!プロダクト開発&イベント開催1,504万円
10万人の居場所が倒産のピンチ!田川の廃校いいかねPaletteの再挑戦【福岡】地域振興1,183万円

相変わらず固定ファンを抱えるコンテンツ関連のプロジェクトは強い。

TOPのアニメイベントのプロジェクトは、目標額1,000万円に対し、初日の支援額が3,000万円。リターンは3,000円からですが、20万円超えの高額リターンは全てSOLD OUT。最高額は3,270,928円です。原作10周年、あまりにもコンテンツのパワーがあり過ぎて、日々一般中小企業を支援している私には羨ましい限り、同時にあまり参考になりません。

2位はデジタルファブリケーションツールの販売プロジェクト。デジタルファブリケーションとは、デジタルデータからモノを制作する技術のことで3Dプリンタが有名ですが、今回の商品はレーザーやカッターでモノを切り抜いたり、インクなどで印刷したりするツールです。

定価が一台50万円前後の商品ですが早割で20~30万円。プロジェクト開始から約2週間で支援額が2,600万円まで伸びていますから、高額商品もクラウドファンディングを活用できるというお手本です。というか、個人向けに「ニッチ × 高額」商品を販売するにはチャネルの選定が難しく、クラウドファンディングはそのような商品のプロモーション及び販売にマッチしていると思います。

ただネックとなるのはプロジェクトの期間が1~2カ月と限られるといること、常時販売できるわけではありません。クラウドファンディングはECサイトではないですから、これは当たり前のこと。そして、同じプラットフォームで、同じプロジェクトを繰り返し実施することは基本できません(プラットフォームによっては他のプラットフォームで実施したプロジェクトは行えない規約を設けているところもあります)。

ただ同機能の商品であっても、モデルチェンジを行ったものは新しいプロジェクトとして認めているプラットフォームも少なくなく、そのタイミングでクラウドファンディングを活用し、プロモーション及び売り上げ増加を効果的に図っている業者も多々見かけます。今回のクラウトマシンも、最初にクラウドファンディングを実施したのは2021年でその後数回クラウドファンディングを実施、今回は最新モデルが完成したタイミングでのプロジェクト実施のようです。

Kickstarterなどの海外のクラウドファンディングでもそうなんですが、中国の業者はクラウドファンディングをマーケティングに活用するのが本当にうまい。今回の業者も母体は中国で、クラウドファンディングの起案者はその日本代理店です。この辺り日本企業にももっと活用してもらえるようにと今回改めて考えさせられました。

Makuake〜上位はすべてクラウドファンディング経験者

タイトルジャンル調達額
15分で即冷凍!-20℃を自由に持ち運べるポータブル冷蔵庫FrozenPack輸入販売4,195万円
食材のおいしさをキープする真空保存容器「OoBLE mini」プロダクト販売3,966万円
衣類を整える。清潔で心地よい毎日へ|吸着式衣類スチーマー Morus V6プロダクト販売3,814万円
指1つで自由自在。大画面も360°なめらか|COFO無重力モニターアームProプロダクト販売3,035万円
誰でもプロの泡洗車!洗車民の理想を叶える、究極の電動フォームガン|CARTON輸入販売2,711万円

輸入販売、OEM製品、オリジナルとその形態は違えども、上位を占めたのはすべて過去にクラウドファンディングでの実績ある製品のモデルチェンジ。

Campfireのところでも取り上げましたが、原則、クラウドファンディングではすでに一般販売されている商品を対象にすることはできません。ただ、新機能の追加や新色・新サイズなど、新しいモデルを市場に出す前に、先行販売という形でクラウドファンディングを実施することは可能です。

このシステムを利用して、プロモーションやテストマーケティングをうまく回しているのが、今回の上位プロジェクト。このような金額ランキングという形にすると、どうしても過去に何回もクラウドファンドを実施し、実績やノウハウを持っているつわ者が上位に来るのは致し方ありません。

もちろん、購入型クラウドファンディングは新商品開発やスタートアップの資金調達にも利用されます。というか、本来の存在意義としてはそちらがメインでしょう。ただいきなり多額の資金を調達するのはなかなか難しい。そのため最初のうちは思うようにいかないことを前提として、複数回実施することで効果を上げていく計画を立てるのもありだと思います。

READYFOR〜とにかくプロジェクトページが秀逸

タイトルジャンル調達額
10年間の献身が生んだ成果:次世代のドクターカーへの更新医療・福祉1,742万円
ナチュラルボディビルで生活ができる世界を作りたい!イベント開催1,282万円
北海道まるっと応援プロジェクト2024地域振興1,240万円
起きてしまう前に、こども達を救う。虐待予防の最前線を支える仕組みソーシャルグッド1,121万円
未来を紡ぐ、80年の絆。地域の皆様と共に歩む産科病棟の新たな一歩。ソーシャルグッド983万円

医療や虐待防止など、社会問題に取り組むプロジェクトが並ぶ中、私の目を引いたのは2位のボディービルイベントのプロジェクト。とにかくプロジェクトページが秀逸です。

ジュラシック木澤さんというボディービルダーの方(今は引退されているそうですが)が起案者として、ボディビル界が抱えている課題や前回大会(今回は2回目の開催)の反省などを語っているのですが、これがなかなか面白い。もともとボディビルに関心がなかった私もすごく興味深く読ませていただきました。

リターンについても、大会チケットの他にも

  • トレーニング用PDF『デカくなるための10ヶ条』
  • マッスルジムの体験
  • オンラインセミナー
  • ボディビルダーとの食事会

など大変ユニーク。知らない人には〝怖いもの見たさ〟を刺激する、ネタにしやすいテーマですね。私もこの後、木澤さんやボディービルについていろいろググってしまいました。そのことからも、マーケティングとしては成功していますし、どちらかと言えばニッチと言えるボディービルのすそ野を広げるための、良くできたプロジェクト及びページだと思います。

一方資金調達の方は500万円を目標とし30分程で達成。ボディビルの根強いファン層があるのと、2回目の開催ということで支援を見込める宛をある程度は確保できていた上での結果でしょう。

ただクラウドファンディングでの調達は、あくまでも大会運営費の一部。動画のなかで木崎さんも仰ってましたが、最終的には大会に協賛してくれる企業を増やしていきたいとのこと。その一手段としてのクラウドファンディングの利用という側面もあるのでしょう。非常に理にかなっており、プロの仕事だと思いました。

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