2024年9月、購入型クラウドファンディングの大手プラットフォーム(CAMPFIRE, Makuake, READYFOR)における、資金調達が多かったプロジェクト(累計金額ではなく、単月の調達金額)を集計しました。
※ ご注意
このランキングは、多くの人から支援されているプロジェクトの傾向を掴み、今後のプロジェクトの成功に役立てていただく目的で、当サイトが独自で集計したデータに基づいて行っています。そのため各プロジェクトの調達額については、公式なものではありません。また、調達規模を大まかに掴むのに支障がない範囲で、数字を丸めさせていただいております。
CAMPFIRE〜やはり「利他の精神」は大事ですね
タイトル | ジャンル | 調達額 |
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アーティストを支援する、地域と音楽をつなぐ滞在型音楽スタジオを作る。#AVMS | 音楽 スタジオ開業 | 2,641万円 |
体の不調、ハーブで改善! 家族の健康を守る毒だし法を 全国100万世帯に届けたい | 健康 書籍出版 | 2,504万円 |
エスパルス選手バスリニューアルプロジェクト2024 #エスパルスバスと共に未来へ | プロスポーツ支援 | 2,079万円 |
DIYから販売まで!誰でも簡単に本格的な製作を楽しめる、1台4役のクラフトマシン | プロダクト販売 | 1,966万円 |
能登半島地震で被災し全壊した牛舎を建て直したい | 災害支援 | 1,920万円 |
TOPは音楽スタジオの建設(改築)プロジェクト。起案者は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんが創立した団体。
技術の進歩により自宅で誰でも音楽が作れるようになった一方で、商用のレコーディングスタジオは閉鎖や閉業が続いているんですね。時代の流れと言ってしまえばそれまでですが、それに危機感を持った後藤さんが、地域振興も兼ね、静岡県藤枝市の古い土蔵を宿舎併設の音楽スタジオに改修しようとするプロジェクトです。
中世の時代から音楽に限らず芸術は一般(当時は貴族)からの支援でなりたっており、現代でもアートとクラウドファンディングは相性が良く、多くのアーティストがクラウドファンディングで活動資金を調達しています。
特に今回は多くのファンを擁する有名アーティストが起案者となったプロジェクトですから効果は絶大。目標金額 5,500万円に対して、3日で2,500万円の支援となっています。購入型のクラウドファンディングでは、『最初の一週間で目標の30%に達した往路ジェクトは成功する』とよく言われ、スタートダッシュの重要性が指摘されます。10月5日の時点ではまだ目標到達とはなっておりませんが、残りはまだ2カ月以上あり、今後数字を伸ばしていくのは確実でしょう。
こういった有名人によるプロジェクトがあると「クラウドファンディングは有名人が圧倒的に有利」という声をよく耳にします。確かに一理あるのですが、実際は多くの有名人がクラウドファンディングで失敗しているのも事実で、そこがクラウドファンディングの面白く、難しいところです。
成功と失敗どちらに転ぶかの一つの要因としては「利他の精神」があります。今回のプロジェクトでいえば、その目的として「無名アーティストの活動支援」「地域の振興」と他人様のためにプロジェクトを立ち上げたもの。それが確りと支援者に伝わったプロジェクトは成功しやすい。単に有名なだけで、自己中心的なプロジェクトは成功しない。その辺り「利他の心」をうまく伝えるストーリーが重要だなと再認識させられました。
Makuake〜大手食品メーカーのキャンペーンがランクイン
タイトル | ジャンル | 調達額 |
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衣類を整える。清潔で心地よい毎日へ|吸着式衣類スチーマー Morus V6 | プロダクト販売 | 3,661万円 |
創業150周年の登録文化財の旅館に、専用露天とサウナ付き1棟貸し別邸がオープン | 宿泊予約 | 3,643万円 |
指1つで自由自在。大画面も360°なめらか|COFO無重力モニターアームPro | プロダクト販売 | 3,023万円 |
【2秒で寝落ち?!】オーダーメイドを超える!ぷにょんと密着で朝までスッキリ快眠! | プロダクト販売 | 2,616万円 |
九州を元気に!オール九州で作り上げる『うまかっちゃん45周年記念特製どんぶり』 | プロダクト販売 | 2,475万円 |
クラウドファンディングの実績豊富な猛者たちが上位を占める中、5位は大手食品メーカー、ハウス食品のキャンペーン企画。
『うまかっちゃん』というインスタントラーメンとコラボした「どんぶり」の、形としてはプロダクト販売。第一印象としては、「『うまかっちゃん』って何だっけ?」と、「どんぶりの値段(1個 6,600円)高!」。
私にとってハウス食品と言えばとにかくカレー・シチューのイメージで、調べてみると『うまかっちゃん』は現在は西日本限定での販売で、九州では絶大なる人気商品だということ。
どんぶりの値段が高いのは有田焼の受注販売だからなんでしょうか。まさかハウス食品がどんぶりで利益をあげようとしているはずもなく、キャンペーンなら普通はお金は取りません。しかもこの価格でこれだけ売れている。九州を元気づけようとした「お祭り」なんですね。普通ではなくて面白いです。
READYFOR〜計画実現のため、諦めず再度の資金調達プロジェクト
タイトル | ジャンル | 調達額 |
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アントラーズの未来をみんなで2024 | プロスポーツ支援 | 2,536万円 |
希望のまちを諦めない、抱樸をひとりにしない|緊急プロジェクト | ソーシャルグッド | 1,664万円 |
北海道まるっと応援プロジェクト2024 | 地域振興 | 1,395万円 |
【能登豪雨】地震の被災地が浸水 緊急支援を開始! | 災害支援 | 1,382万円 |
10年間の献身が生んだ成果:次世代のドクターカーへの更新 | 医療・福祉 | 1,375万円 |
この中で私の目を引いたのは2位の「希望のまち建設プロジェクト」。起案者はNPO法人抱樸で、北九州市に地域共生社会の拠点を建設しようとしているもの。「誰もが困った時は助けてと言えるまち」をコンセプトに、建設予定の拠点には「相談窓口」「子ども食堂」「学習支援」「日常生活サポート」「地域交流の場」の機能を持たせる計画です。
今は能登の被災地への支援が緊急を要していますが、同時にこのような長期的な視点で社会問題を解決しようとしているプロジェクトの支援も重要です。私も一人暮らしの親がおり、その「不安」等を聞いているので他人事ではありません。
またモノやサービスの直接支援と違って、このような試みはテストケースの意味合いもあり、実際に稼働してもそれが本当に機能するのか、社会問題を解決できるのかは不確実性を伴います。そういうチャレンジ的な面もクラウドファンディングとはマッチしています。もちろん当プロジェクトへの支援は税制優遇が得られる寄付型のクラウドファンディングになります。
ただこのプロジェクト順風満帆ではありません。プロジェクトを開始したのは2019年で一旦は寄付金・助成金・融資で建設費用を調達したものの落札されず、昨今の物価高騰に影響で再入札には追加での資金が必要、そのためにクラウドファンディングを活用したとのこと。目標は1億円。
支援金額の推移を見ると、突然支援額の急増が見て取れます。メディアで取り上げられたのか、キャンペーンページにもそれらしい記載がなく、外から見ただけでは原因が分かりません。引き続き追跡調査が必要ですね。
個人的にもこのプロジェクトの行方・結果には興味があります。まだ目標までは道のりは長いですが、このプロジェクトを成功させ、理想とするまちの実現に成功してもらいたいと思います。
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