クラウドファンディング挑戦が決まったら最初にやるべきこと

早すぎるプロジェクトの立ち上げは、クラウドファンディングで最もよくある失敗の一つです。

実際アイデア自体は優れているのに、早急にキャンペーンを開始したために、人が集まらない、内容が自分本位、デザインのクオリティが低いなどの理由で、思うような結果が出ないケースは少なくありません。

開始期日が決められていて、どうしてもずらせない場合は仕方ありませんが(往々にしてそういうケースは多いですが)、そうでない場合は2~3ヵ月かけて入念に事前準備を行うことで成功の確率は間違いなく上がります。

というのも、購入型クラウドファンディングで資金調達できるのは通常1ヵ月程度、本当にあっという間です。そのため開始してから、進捗状況を見ながら、試行錯誤してページを良いものにしていこうと思っても、その前に終了してしまいます。また項目によっては変更自体できません。

さらに一旦開始した後は、

  • プロジェクトの進捗報告
  • お問い合わせやコメントなどへの対応
  • さらなる告知活動

など、すべきことは数知れず。

そのため、クラウドファンディングの開始時点までに、自身のプロジェクトをしっかりアピールし、多くの支援が期待できるベストの状態まで持っていく必要があるのです。

では、限りある時間と予算の中で、事前準備は何を重視するべきか。私は、いきなりプラットフォーム業者に申し込みを行い、プロジェクト・ページの作成に取り掛かるのはオススメしません(何度もクラウドファンディングを実行している方は別です)。

クラウドファンディングを成功させるためのポイントは多々ありますが、プロジェクト・ページの作成前に事前準備として必須だと思うのは、大きく分けると入念なリサーチと、プロジェクトの下地作りです。

TO DO ①:入念なリサーチ

時間・予算が限られている中で、高いクオリティの(見てくれた人が支援したくなるような)ページを作成するのは、なかなか大変です。その際、最も効果があるのは、他の成功したプロジェクトページを参考にすることです。要は「モノマネ」「良いとこ取り」。聞こえは悪いですが、あなたが実現しようとしているアイデアの中身が独創的(オリジナル)であるかが重要なのであって、その発表の仕方は他を手本としても何の問題はありません。

さて「良いとこ取り」をするには、まずは他のプロジェクトのリサーチは必須となります。具体的には、

①最新のプロジェクトのチェック

大手プラットフォーム3社(キャンプファイヤー、Makuake、Ready for)を合わせると、連日50〜200件の新プロジェクトが開始されています。可能であればこれらを毎日チェックしましょう。

どこのプラットフォームでも「新着プロジェクト」という一覧ページがあります。そのリストをサラッと流す程度で構いません。数分で終わります。私は飯の種でもありますので、もう何年も欠かさずやっています。1ヵ月でかなり目が肥えますし、たまにオヤッと目が留まるプロジェクトには何らかしらの理由があるからです。

②気になったプロジェクトを支援する

可能ならば気になったプロジェクトのいくつかを支援してみましょう。更新情報をリアルタイムで読み、支援者とどうコミュニケーションをとるか、またそれに対して自分がどう感じたかに注意しましょう。

米 Kickstarterの統計によると、過去に11以上のプロジェクトを支援したことがある人のプロジェクトは成功確率が上がるそうです。もちろん単なる偶然で、因果関係があるかは不明ですが。

③同じ情熱を持つ人々と交流する

自分のプロジェクトに関連するブログやサイト(コミュニティ)を探し出し、毎日チェック、積極的にコメントしましょう。共通の興味、問題意識を持つ人との交流は、自身のモチベーションアップに繋がります。そしてそれは今後のプロジェクトの準備を進めるにあたって非常に大事です。

ポイントは、これを支援のためのネットワークづくりだとは思わないこと。このような繋がりは実際にプロジェクトを開始したときに協力・支援してくれる可能性がありますが、あくまでも、好きなテーマについて読み、同じ情熱を持つ人々との交流と考えましょう。

④成功したプロジェクトの一覧を作る

あなたのプロジェクトと似たようなクラウドファンディングで成功したプロジェクトをスプレッドシートにまとめて、互いに比較しましょう。10個位探すことが理想です。

おそらく、タイトル、掲載画像、リターンの金額、期間など、成功したプロジェクトから共通の項目が多く見つかるはずです。それを参考にしましょう。

TO DO ②:クラウドファンディング・プロジェクトの下地作り

プロジェクトページを作成するにあたって、事前に行っておくと今後の作業がスムーズかつクオリティの高いものになると思われるもの。または重要で時間のかかる作業をリストアップしています。

⑤プロジェクトの概要を紙一枚にまとめる

クラウドファンディングで成功するには支援者から共感を得ることが非常に重要です。プロジェクトページを作成するにあたって、単にアイデアや計画を説明するだけでは、なかなか共感は得られません。そこで必要となるのはストーリーです。

では、どうやってアイデアをストーリーにしていけばいいのか?

まずはストーリーのベースとなるファクターを紙一枚に抜き出し、それを眺めながら物語を作っていくのが有効です。その際私が実施しているのがCFC(CrowdFunding Campas)です。これは、〝ビジネスモデルキャンバス〟というビジネス構造を可視化する既存のフレームワークを、私なりにアレンジしたもので、

  1. ①あらかじめ決められた項目を埋めていくだけなので、比較的に短時間で完成することができる
  2. これから進めるクラウドファンディングプロジェクト全体が把握できる
  3. 非常にシンプルなので、他人に説明する際にも使える

などの利点があります。

埋めるべきファクターは以下の9項目

①支援者、②共感、③チャネル、④信用、⑤強い思い、⑥プロジェクト、⑦独自の価値、⑧資金使途、⑨リターン

大事なのはプロジェクトの進捗に合わせて随時書き直していくこと。よくある間違いとしては、ターゲットという項目は、あなたが資金調達して考えている計画のターゲットではなく、クラウドファンディングで支援してくれそうなターゲットです。

もちろんこのフォーマットにこだわる必要はありません。ただ、上にあげた項目を俯瞰できるようにしておき、何かにつまずいた時に眺めることで、頭の整理に非常に効果があるので、非常におススメです。

CFCについては別の機会に詳しく説明したいと思っています。

⑥チームをつくる

クラウドファンディングに限ったことではないですが、個人よりもチームの方が成果が上がるのは普通のこと。特に新しいことに挑戦するときはこれが顕著だと思います。小規模の会社の場合でも、準備の段階では担当者一人にまかせっきりになっている例は少なくありません。

米大手クラウドファンディングサイト Indiegogoの元CEOスラヴァ・ルービンは「IndiegogoのCEOが語るクラウドファンディング成功の秘訣9選」という記事の中で、過去の経験則から、

4人以上のチームは1人に比べ70%以上の資金を調達できる

と述べています。

画像担当、文章担当、PR担当等など、作業に応じて役割を分担するのが理想ですが、最低でも相談できる「壁打ち役」は必要で、いるといないとではアイデアの深さ・広さが段違いです。これからクラウドファンディングに挑戦しようとしている経営者の方、担当を決めるなら最低でも2名(リーダーとサブ)にしましょう。

⑦予算(資金繰り)の作成

クラウドファンディングを実施するにはコストがかかります。もちろん発生するコストをすべて支援金額で賄うことにすれば、実質手出しの資金はゼロです。が、注意すべきは、調達した資金を手にする前に発生するコストがあるということ。

そのため確りとした予算を前もって作成し、収入と支出の大まかな金額と発生のタイミングを掴んでおかないと、後で目先の資金繰りにあたふたすることになりかねません。

クラウドファンディングのコストは、調達金額によって変動するもの(変動費)と、調達金額とは関係なく固定のもの(固定費)からなります。

  1. サービス手数料‥変動費。調達額の17~20%。調達した資金から自動的に引かれるのでタイミングを気にする必要はなし。
  2. リターン費用‥変動費。支援者へのリターン(返礼)にかかる費用。最初は調達額の20%と設定することが多い。注意が必要なのは製品をリターンとする場合で、制作費、仕入代金など、返礼するタイミングによっては、調達資金の入手前に支払いが発生することになる。また発送費は意外と馬鹿にならないため、発送方法を工夫する必要がある。
  3. ページ制作費‥固定費。写真や動画を外注で制作する場合にかかる費用。当然資金調達の前に発生する。もちろんすべて自分で用意すればコストはゼロ。クオリティーとコストのバランスでどうするか決めましょう。
  4. PR・広告宣伝費‥固定費。既存商品のリニューアルプロジェクトとかで反応がある程度わかっている場合以外は、予算の段階で考慮する必要なし。

これらのコストを見積もって、本来あなたが調達したい資金(例えばお店の開業資金など)に加えたものが、最終的なクラウドファンディング・プロジェクトの目標金額となります。

⑧画像・デザインの制作

プロジェクトページの制作で一番力を入れるべきところ、それはタイトルと写真画像です。特にページを訪問したときにまず目に飛び込んでくるアイキャッチ画像は、お金と時間をかけてでも魅力的なものにするべきだと思っています。

どのような写真を載せたらインパクトがあるか検討し、プロのカメラマンやデザイナーを見つけ、依頼し、撮影・制作となると、想像以上に時間がかかります。そのため、早いうちに手を打つのが理想です。

これが動画となるとさらに時間がかかります。

さて動画についてですが、よく動画を載せると成功の確率が上がるという記事をよく見かけますが、確かに動画はインパクトが強く、こちらの思いが伝わりやすい。今はスマホで誰でも動画撮影ができるので、自分で撮影・編集して載せている人も多く見かけます。

ただ注意すべきはそのクオリティ。動画は大変インパクトがあるので、クオリティが低いものを載せてしまうと、それだけでプロジェクトページがショボく見えてしまいます。そのため、私はクオリティの低い動画を載せるなら、画像だけにした方がよいと思っています。

最後に

この記事を読んでいる方は、これからクラウドファンディングに挑戦しようとしている方が多いのではないでしょうか。

今はどこのクラウドファンディング業者でも、フォームに入力していくだけで簡単にページを作成できるツールが用意されており、業者の人的サポートも充実しているので、ページの作成自体はそう難しくはありません。

ただ、ページを作成して公開するだけで、苦も無く資金が調達できるかというと、そんなことは絶対にありません。やはり成功しようと思ったら、それなりの準備が必要です。

思い立ったら吉日で、すぐに業者選びをして、申込み、ページの作成に取り掛かりたいと思うのをぐっとこらえて、まずはここで紹介した事前準備から始めていただくのをオススメします。

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